研究プロジェクト紹介

地域イノベーション戦略推進事業
さっぽろヘルスイノベーション'Smart-H'

食品には三つの機能性があるといわれています。第一次機能は「栄養機能」、第二次機能は「嗜好・食感機能」、そして第三次機能は「健康性機能・生体調整機能」です。最近では、健康ブームの影響もあり、多くの人が食品の第三次機能に注目しており、マスコミ等で食品の健康機能について報道されると翌日にはスーパーマーケットの棚が空になる等の現象が見られます。ノーステック財団が総合調整機関として実施している地域イノベーション戦略推進事業「さっぽろヘルスイノベーション 'Smart-H'」では、このような食品の第三次機能を科学的に裏付けるための研究開発が行われており、その一部をご紹介します。

  1. 核内受容体による食品の機能性評価
産業技術総合研究所 北海道センター

核内受容体は細胞内に含まれるタンパク質で、外部から細胞内に取り込まれた物質と結びついて細胞核内での遺伝子転写を調節しています。この機能を利用すると、食品中に含まれる物質のヒトに対する影響(例えば、急な血糖値の上昇を抑える、血圧上昇を抑制するなど)を遺伝子レベルで予め推定することが可能となります。独立行政法人産業技術総合研究所北海道センターでは、15種類以上のヒト核内受容体を用いて北海道の様々な食材の健康性機能の評価を行っています。

  1. 抗酸化機能の分析評価
旭川医科大学 抗酸化機能分析研究センター

酸素は私たちにとって重要な元素ですが、一方、反応性が高いため体の中ではタンパク質を変性させたり、DNAに損傷を与えたりする有害な酸化反応を起こすことがあります。このような有害な酸化反応に対抗するために、生物は体の中で様々な抗酸化物質を作ったり食物から取り入れたりしています。例えば、ビタミンCやポリフェノールは抗酸化物質として有名です。旭川医科大学抗酸化分析研究センターでは、様々な北海道食材に含まれる抗酸化物質を測定し、 「食品素材抗酸化機能データベース」として公開しています。
関連リンク:食品素材抗酸化機能データベース(外部リンク)

  1. 脂質分析
北海道大学大学院保健科学研究院 健康イノベーションセンター 高度脂質分析ラボ

心筋梗塞や脳卒中、がんは日本人の死亡原因の上位を占めていますが、最近の研究で、そのような疾患への脂質代謝異常や体内での過酸化脂質生成の関与が明らかになってきました。北海道大学大学院保健科学研究院では、食品や血液、臓器のみならず、細胞レベルでの網羅的・定量的な分析を分子種レベルで行っており、食材や生活習慣と体内脂質の関係を明らかにする研究に取り組んでいます。

  1. ヒト臨床試験
北海道情報大学 健康情報科学研究センター

食品の健康機能については、上記のように様々な評価系の研究が行われていますが、機能性を確認する最終段階ではどうしてもヒトを対象とした臨床試験が必要です。北海道情報大学健康情報科学研究センターでは、化学分析や動物試験、核内受容体試験などで安全性の確認や機能性の可能性が示された食材について、市民ボランティアの協力の下、その機能性を明らかにするヒト臨床試験を行っています。

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